【ライターコラム】地震被災の北海道へのエール/ 釧路市湿原展望台① バルカン竹本さん、CRFラリー・イトウさん

掲載日: 2018年09月12日(水) 更新日: 2018年09月11日(火)
カテゴリー: 日刊バイクブロス  タグ: ,  
この記事は2018年9月12日当時の情報に基づいて制作されています。

9月の土曜日に、道東(北海道東部)にこれほどライダーがいないことは珍しいことです。路面が凍結して走れなくなるまでもう1カ月もないので、例年なら「走り溜め」するバイクであふれているはずです。

釧路(くしろ)市から30分のシラルトロ湖の駐車場。絶好のバイク日和にがらんどう。しばらく待ったけど、バイクは1台も通過しませんでした。

しかし私がツーリングに出た2018年9月8日(土)は、6日午前3時ごろ発生した「平成30年北海道胆振(いぶり)東部地震」からまだ2日しか経っていません。北海道初の震度7を記録し、約40名の死者を出しました。
ライダーたちが走りを自粛するのも、もっともです。

標茶(しべちゃ)町から鶴居(つるい)村に向かう国道274号。牧場の丘がとてもキレイな道。ここにもライダーはいませんでした。

同じ北海道内でもここ道東は、震源地の胆振東部から250kmもあります。なので私が住む釧路(くしろ)市は、50時間の停電ぐらいで済みました。
だから街はすぐに日常に戻り、全然バイクで走ることができます。そこで道外ライダーに会って、北海道へのエールをもらおうと思い立ちました。

本物の鶴が居る鶴居村に入りました。ここまで1時間くらい走って2台のバイクとすれ違っただけです。

1時間くらい走ってもバイクはほとんど見つからず、釧路市湿原展望台の駐車場でようやく、道外ライダーに話を聞くことができました。
福岡ナンバーのカワサキ・バルカン900カスタムの竹本啓一さん(60歳)です。

福岡市のベッドタウン那珂川町からやってきた竹本さん。自身のVMAXは昨年売ってしまったので奥さんのバルカンを借りてきたそうです。

「地震のときは道東の別海(べつかい)町のホテルにいました。ぐらぐらして目覚めたら、停電で電気がつかずあせりました」

竹本さんは不安を抱えながらも6日の朝、ツーリングの続行を決めました。今回は還暦記念の旅で、どうしても、いま日本人が行ける最東端の根室・納沙布岬に行きたかったのです。地震の影響で道東の奥地まで物資が届かず、ガソリンスタンドはどこも列をなしていて、1台10リッター限定のところばかりでした。

「走りを楽しんでいいか迷ったけど、『お金を落とす』ことでほんの少し貢献できるかなと。九州人としては、熊本地震で支援してもらった恩があります。北海道民には頑張ってほしい、としか言えません」

北海道ツーリングのゴール地、小樽に向けて釧路市湿原展望台を出る竹本さん。

次に釧路市湿原展望台に入ってきたのは、ホンダCRF250ラリーを駆るイトウさん(32歳)でした。八王子からやってきました。

「地震のときは世界自然遺産の知床のキャンプ場にいて、全然気がつきませんでした。その日、羅臼(らうす)岳を7時間かけて日帰り登山して、下界に下りてきて初めて大変なことになっていると聞きました」

イトウさんはキャンプツーリングなのでこの荷物。大体40㎏ぐらいになるそう。

道東の道路でも、停電で信号機が消えていたり、トンネルの照明が点灯していなくて真っ暗だったりと、地震の爪痕を感じたイトウさん。

「北海道の皆さんには、復興していただくことを願うことくらいしかできませんが……。でも、よみがえった北海道に、必ずまた来ますよ」

(ライター アサオカミツヒサ)

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