【ライターコラム】道東の引力・なぜバイク乗りは北海道を目指すのか?/厚岸町編① 大阪市の納谷さん

掲載日: 2018年08月22日(水) 更新日: 2018年08月20日(月)
この記事は2018年8月22日当時の情報に基づいて制作されています。

2018年8月8日は普通の水曜日で、こんな日に北海道の東部を走っている人はこの地に相当強い思い入れがあるはずなので、「道東引力」に吸い寄せられた人を探しに出ることにしました。
道東を走ると砂利の広場を頻繁に目にするでしょう。これは干場(かんば)といい、昆布を干す場所です。

釧路と厚岸を結ぶ国道44号沿いに頻繁に現れる昆布を干す砂利の広場。石はとてもきれいです。

この日の目的地は、カキの養殖で有名な厚岸町です。この地に最近、ウイスキーの蒸留所ができました。この真っ白な建物に黒のゴシック書体でブランド名を描くのは、本場イギリスのウイスキー蒸留所と同じで、とても格好いいです。

厚岸のウイスキー蒸留所とその周辺。何もないところにポツンとある感じもイギリスのウイスキー蒸留所とよく似ています。

道の駅「厚岸味覚ターミナル・コンキリエ」の駐車場に入ると、停まっていたバイクはハーレーFXRSローライダーのチョッパーだけでした。しかも大阪ナンバーです。

まっすぐに伸ばせばフロントフォークより長くなるエイプハンガーハンドルのハーレー。

道の駅の建物に向かうと、オーナーとおぼしき人がいたので、勇気を振り絞ってインタビューを申し込むと、「いいっすよ」と快諾してくれました。

納谷靖さん(50歳)は、札幌出身で18歳から大阪市に移りました。以来30年以上大阪にいます。今回は8月1日にフェリーで小樽に入り、札幌の実家→稚内→羅臼→根室、そして厚岸に到着しました。

やはり「乗りにくいよ。コーナーは曲がりにくいし、肩は凝るし」とのことです。

納谷さんは札幌出身にもかかわらず、これまで道東も最北端・稚内も行ったことがありませんでした。羅臼のライダーハウスでごちそうになった魚尽くしの夕食がおいしかったとのこと。ニシン、ソイ、カレイなど地元の魚を刺身、焼き魚、フライなどでいただいたそうです。
人生初の道東の印象は「地獄の寒さだね」。太陽が見えなくなると道東は8月でも寒くなります。

納谷さんはこの日、カッパ、ジャンパー、パーカー、その下にダウンのベストも着込んでいました。道東を目指すみなさん、これくらいの防寒着は必要ですからね。

納谷さんは今回、久しぶりに長期の休みが取れ、気分転換のために髪の毛を染め、北海道ツーリングを計画しました。
「何を考えながら走ってきたんですか」と尋ねると、「人生かな」と答えてくれました。
「バイクはどのような存在ですか」と尋ねたら、「一番の楽しみ」と教えてくれました。
2人の娘さんがまだ小さかったころ、かわりばんこにこのハーレーの後ろに乗せ、四国や九州に行ったそうです。ご本人曰く「そのお陰でいまも娘たちと仲がいいんだと思いますよ」。

「キャンプをしないから荷物はこれくらいで十分ですね」と話す納谷さん。このハーレーは1991年に購入し27年目に突入。

納谷さんに頼んで、今回の旅の前半の、天気がいいときに撮った写真をいただきました。

北海道北部の風景と納谷さん。

納谷さんの話を聞きながら、私も「NSRで道内一周しなきゃならないな」と強く思いました。

(ライター アサオカミツヒサ)

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