【ライターコラム】道東の引力・なぜバイク乗りは北海道を目指すのか?/ シラルトロ湖編① アフリカツインの大園さん

掲載日: 2018年08月29日(水) 更新日: 2018年08月30日(木)
カテゴリー: 日刊バイクブロス  タグ: ,  
この記事は2018年8月29日当時の情報に基づいて制作されています。

道東(北海道の東部)にはすごい自然がたくさんありすぎて、こんなに立派な湖でも「二軍」扱いです。

この標茶(しべちゃ)町のシラルトロ湖は、私が住む釧路(くしろ)市から愛車のNSR250Rで30分の距離にあります。その駐車場に、ロスマンズカラーのホンダ・CRF1000Lアフリカツインが入ってきました。「あんな限定カラーあったっけ?」と思ったので近寄ってあいさつをしました。この日(2018年8月19日)、北海道に上陸したばかりの大園康志さん(52歳)は、「これカスタムペイントなんです」と教えてくれました。

大園さんとロスマンズ・アフリカツイン。

カスタムペイントとは思えぬ質感を持つロスマンズカラー。

これがアフリカツインのノーマルカラーです。

大園さんは、以前はBMW・R1200GSアドベンチャーに乗っていました。そのR1200GSで初の北海道ツーリングをしたとき、山の中の砂利道で転倒し260kgの巨体を引き起こすのに苦労したそうです。
それで軽い、といっても230kgありますが、アフリカツインに買い替えました。

これは重そう。R1200GSアドベンチャー。

「軽い」アフリカツインでも大園さんはパニアケースにキャンプ道具を詰めているので相当重そうです。

大園さんのアフリカツインのミッションはDCTで、要するにオートマです。大園さんはクラッチ付きの古めのバイク、BMW・R100GSを持っているので、ホンダの最新技術に接してみたかったそうです。

大園さんのアフリカツインはDCTなので、クラッチペダルがありません。

左ハンドルにはクラッチレバーではなく、パーキングブレーキレバーがついています。

大園さんはR100GSも持っているそうです(出典:VIRGIN BMW.com)

「定年退職後に田舎に引っ越そうかどうか、考えているんですよね」と大園さん。その候補地に、鹿児島県・屋久島と並んで、ここ道東も入っています。大園さんは鹿児島出身で、奥さんは関西出身です。北海道との縁は、旅行だけです。今回のツーリングは視察旅行でもあるのです。

大園さんのアフリカツインのコックピット。

大園さんは名古屋のCBCテレビのプロデューサーです。これまでドキュメント番組をつくってきました。

私は自宅に帰ってから「大園康志 CBC」でグーグル検索してみました。すると、大園さんたちは2017年に、引退した暴力団のその後の生活を描いた「ヤメ暴~漂流する暴力団離脱者たち~」で放送文化基金賞奨励賞を受賞していました。

そして2011年にはトヨタの4次下請けの仕事をする女性たちを追った「笑ってさよなら~四畳半下請け工場(こうば)の日々~」が、日本の民放としては初めて、モンテカルロ・テレビジョン・フェスティバルの最高賞「ゴールデンニンフ賞」を受賞していました。

大園さんたちが制作した番組が海外の大きな賞を受賞したことを知らせるCBCのホームページです。

大園さんは出会った日の夕方、私にメールを送ってくれました。
「アサオカさんに聞かれた『なぜ道東に来たのか』をあらためて考えると、私が52年生きて来た中で、極めてオリジナルがここにはあるからですかね。道、空気、食、何もかもです。五感が刺激されるというのでしょうか」
大園さんのようないわば「社会の目利き」にそこまで言わしめる道東ってすごいでしょ。

シラルトロ湖駐車場を出発する大園さん。行ってらっしゃい!

(ライター アサオカミツヒサ)

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